2026
Jan
117
「STRENGTH」の一問一答コーナーに載っている《(真田は幸村とは)幼少からライバルとして切磋琢磨していて、いつしか勝たない方が良いとさえ思い始め》た…って、本来は文章として不自然。
「ライバルとして切磋琢磨していて」から順接で続くなら、「常に負けたくないと意識してきた」や「彼に勝つことが原動力だった」といった、原文とは正反対の意味内容が自然。
「ライバル」も「切磋琢磨」も互いに競い合って高め合うことを意味するわけだから、「勝たない方が良い」という結論に至るのは論理的/心理的な飛躍がある。逆にいうと、勝たないほうがいいと思うならそれはもうライバル関係ではない。
おそらく不正確なのは結論ではなく前提のほうで、実情として妥当そうに思われるのは「幼少からずっと勝てなくて、いつしか勝たない方が良いとさえ思い始めた」。
敗北の痛みから自分を守る操作。「勝てない」が「勝たない方が良い」に転化するのはいかにも子供の防衛機制的な心理で、切ない。
…勝てないのではなく、そもそも勝たないほうがいいのだ。何度挑んでも敵わないのは、(自分が弱いからではなく)相手が偉大すぎるからだ。こんなに偉大な相手は、忠誠を尽くすに値する……相手が主君で自分が家臣なら勝つ必要はない。勝てないから、従いたい。
これはある意味では自然な心理的適応。しかし問題(そしてこの種の話の醍醐味)は、こういう合理化によって無意識下に生まれた「勝てないから従いたい」が、実際の関係の心地よさの中でいつしか主客を転倒させて「従いたいから勝ちたくない」を生み、両者が相互に強化し合ってしまうこと。その螺旋が回り続けて、もはやどちらが先だったかわからなくなってくる。
アニメ版の回想シーン(小5〜6くらい?):
《決めた。真田、この学校に入ろうよ。そして、僕と君とで天下を獲る》
《…ああ》
断られる可能性を想定してなさすぎるだろ。