2025
Dec
95
ベストセラー本のタイトル『ケーキの切れない非行少年たち』
「ケーキが切れない」でも「ケーキを切れない」でもなく「ケーキの切れない」なのは文法的には据わりが悪く、やや奇妙。
①ママがケーキを作った
↓
②ママが作ったケーキ
↓
③ママの作ったケーキ
この変換は主語が同じ動作主(Agent)で一貫しているためわかりやすいが、
①少年たちがケーキを切れない
↓
②ケーキが切れない少年たち
↓
③ケーキの切れない少年たち
これは連体修飾内での「が→の」の交替の前に、目的語の主語への昇格(いわゆる対象主語)を経ているため、①と③で心理的な距離が遠い。
「ケーキが」だと「ケーキ」の卓立性が高くなりすぎるから避けたのかな…
「の」のほうが全体として一つの名詞句にまとまりやすいのは確かだし。
文法的に適格ではあるものの、やっぱり日本語話者の直感的な語用感覚には反するのか、「ケーキが」や「ケーキを」と誤記されているのを頻繁に見かける。